いちねんせいの嫉妬

3月、春休み。
コロナ禍の中、小学校の最初の1年を過ごした娘と、ノートやプリントを整理しながら、ふとたずねてみる。

「1年生の1年間、過ごしてみてどうだった?」

楽しかったよ。くらいの返事を想定していた問いかけに、娘は急に眉間にしわをよせ、深刻な顔になる。

「あのね、『ライバル』って、きもちをおぼえた。」
「ライバル?」
「保育園のときは、わたしはだれよりもなんでもできるって思ってたの。でも、1年生になって、Cさんと同じクラスになって。」

Cさんとは、リーダーシップのある元気な女の子である。

「Cさんがほめられたりすると、とってもくやしくて、心の中で、『でもCさんはこういうだめところもあるのに』とか、すごくいやなことを考えちゃうようになった。」
「ほーう。」
「でもCさんはいいところすごいところたくさんで好きなんだ。なのに。」

嫉妬の感情初めて経験したのか。こうやって人はいろいろな感情を経験していくのか。
あまりにも感慨深くて「それは大事な気持ちだね」としか返せなかった。

幼児期の万能感から抜け出した娘。いつまで細やかな心変化を、母にお話ししてくれるだろうか。